エコハウス紹介
近江八幡市はどんなところ?
近江八幡市は琵琶湖東岸にあり、重要伝統的建造物群保存地区に選定された街で、近世の風情がよく残っています。また、明治時代から昭和にかけてアメリカの建築家ヴォーリズが住んでいたことでも知られています。ヴォーリズはアメリカで生まれ、ここ近江八幡に高校教師として来日しましたが、その後日本各地で西洋建築を設計し、数多くの有名な近代建築を残しています。そして傷薬のメンソレータムを広く日本に普及させた実業家でもあります。
エコハウスは市街地の西、のどかな田園地帯につくられた小舟木エコ村にあります。小舟木エコ村は広さ15haあり、近江商人の歴史ある町が、核となる市街地と田園地帯とのちょうど接点にあります。
この村は人と人、人と自然のつながりを大切にする場所です。自然豊かな地球で長く暮らしていけるようにライフスタイルを見直し、持続可能な社会のモデルとなるような村づくりを進めています。
風の良く抜ける心地の良いエコハウス
このエコハウスは通り土間を挟み、近隣住民とのコミュニケーションを図る「近江東屋」と呼ばれる棟と、大きな吹抜け空間をもつ居住棟に分かれています。通り土間で琵琶湖からの風を受け、建物の中に風の道をうまく配置することで、どの部屋にも風が通る居心地の良い空間をつくり上げています。
通り土間や縁側が4ヶ所ありますが、それらが「中」と「外」の気持ちの良い中間領域となり、地域住民が気軽に集える場所を提供しています。
見学・宿泊について
当エコハウスを見学希望の方は、電話かメールにてご連絡をお願いいたします。
小舟木エコ村推進協議会 エコハウス地域普及部会(NPO法人 エコ村ネットワーキング内)
〒523-0083 滋賀県近江八幡市小船木町733-21
Tel : 0748-26-1368
Mail : info@kokoku-ecohouse.net
※宿泊は実施しておりません
活動の状況
完成後の中心的な普及啓発活動として土・日曜日の10:00~17:00の一般公開および、予約制にて平日の視察受入をおこなっています。平成22年5月の開館以来、平成25年3月末日までに延べ約800組、2800人が来場しました。パネルや模型を用いながら、断熱仕様や仕上げ、設備機器、建具などについて説明を行なっています。一般の方の来場に加え、地元自治会、市民団体、滋賀県立大学をはじめとした近畿圏の大学や業界関係団体にとどまらず、海外からも視察者が訪れています。土間や縁側のあるモデルハウスはそれだけでも多くの人の関心を引いています。地域の設計士、工務店だからこそ実現できる自然素材などを用いた高性能住宅。こうした建築の可能性を知らせる普及啓発の場として活動を継続中です。
設計者の意図
地域の汎用性のある製品や素材、工法を採用し、建物の外皮性能(断熱性・気密性)を高めつつ、庇や軒、通風といった地域に根ざすパッシブデザインを設計に取り入れ、省エネ性能を確保しました。その上で、太陽光発電や太陽熱温水などの創エネ設備機器を組み合わせることで、エネルギーを多量に消費せずとも快適に暮らせる空間とCO2削減を両立することを目指しました。
また、この地域の先人たちが、自然の恵みに感謝し、季節の移り変わりの中で培ってきた暮らしの工夫や精神性を受け継ぎ、本来我々が持つ暮らし方を見直すことを最も重要に考えた提案をしています。
「つながり」を楽しむための工夫として、通り土間や縁側など、屋内と屋外の中間領域をつくることで建物の「中」と「外」の連続性を高めています。建物の中のようでもあり外のようである空間は、日本の住まいで古くから設けられてきた、縁側や軒下のような空間で、畑で採れた玉ねぎを吊るして保存したり、切干大根を干すなど、自然と寄り添うライフスタイルを提案しています。
さらに、地域コミュニティを具体化する提案として、通り土間を挟んで、建物東側には、日常的な地域との接点になる「近江東屋」を設置しています。これは、現代的なエコハウスとの対比の意味も含め、琵琶湖の葦(ヨシ)の木製建具や参加型施工による「版築壁」を設け、昔の家づくりに近い工法を取り入れ、伝統的な建築要素の良さを体感出来るような空間としています。
設計
- 片淵建築事務所
- 片淵良
片淵建築事務所
〒528-0005
滋賀県甲賀市水口町水口261番地
Tel : 0748-62-0128
Fax : 0748-62-8189
Mail : info@katabuchi-ao.co.jp
http://www.katabuchi-ao.co.jp/
建築概要
建物概要
構造・階数
木造軸組・2階建・ベタ基礎
敷地面積
487.13㎡
建築面積
178.52㎡
延べ面積
183.36㎡
外皮面積
441.03㎡
主要な部位
屋根〜天井
鋼板0 .4・アスファルトルーフィング40kg・杉板12・通気層90・押出式ポリエチレンフォーム3種50・押出式ポリエチレンフォーム3種65・杉板12・空気層45・杉板9塗装仕上げ
外壁〜内壁
焼き杉板12・通気層21・押出式ポリエチレンフォーム3種50・防湿気密シート・構造用合板9・杉板9
床〜地盤面
杉板15・構造用合板12・押出式ポリエチレンフォーム50・床下空間450・コンクリート150・基礎断熱押出ポリエチレンフォーム
開口部
建具の構成
既製アルミ樹脂複合断熱サッシ
ガラスの仕様
ペアガラスLow-E
日射遮蔽部材
ヨシパネル利用・西面緑化
自然エネルギー
太陽光発電
3.89kW・屋根面設置
太陽熱利用
①:屋根液集熱式ソーラーシステム(太陽熱集熱パネル4㎡・空気熱源HP給湯器・貯湯槽420L)/縁側土間空間へのダイレクトゲイン
地中熱利用
②:地下水利用床下空調
消費エネルギー
電気
③:エアコン 1階キッチン(冷房能力5.0kW:COP=3.7、暖房能力6.7kW:COP=4.6)/さらに、1階リビングエアコンを調査時に増設(冷房能力3.6kW:COP=2.8、暖房能力4.2kW:COP=3.7)
主要な設備
暖房方式
③のエアコンによる
蓄熱 床下空間利用
②の地下水利用床下空調
冷房方式
③のエアコンによる
全般換気方式
第3種換気
サーキュレーター
室内循環ファン
給湯方式
①のソーラーシステムによる
環境性能
| 熱損失係数 Q値(平成11年基準値) | 2.2W/㎡K(2.7) |
|---|---|
| 夏期日射取得係数 μ値(平成11年基準値) | 0.058(0.07) |
| 外皮平均熱貫入率 UA値(平成25年基準値) | 0.82W/㎡K(0.87) |
| 冷房時の単位日射強度あたりの日射熱取得量 mC値 | 9.41W/㎡K |
| 暖房期の単位日射強度あたりの日射熱取得量 mH値 | 10.63W/㎡K |
| 実開口面積比率・開放面積比率 | 31.4%・36.8% |
| 相当隙間面積 C値 | 1.1㎠/㎡ |
| 太陽光発電パネル容量 | 3.89kW |
| 模擬居住調査による一次エネルギー消費量 | 31.0GJ/年 |
| 模擬居住調査によるCO2排出量 | 1.3ton/年 |



















